焼成

さぬき岡本焼とは

『 さぬき岡本焼き 』の由来は定かではありません。しかし、西暦1300年頃に焼き物の技術は当地に伝えられたとされています。その後、反映と衰退を繰り返しながら長い年月を経て固有の変化をし、現在の技術が確立されたと考えられています。そして今、焼き肌からにじみ出る土の暖かみ、手作りの素朴な美しさが一体となり『 わび・さび 』に通じる美しい焼き物を生み出しています。

近年では「 穴窯 」と「 赤松の薪 」を用い、7日間の焼成(しょうせい)をおこなっています。その過程では、作品に降りそそぐ松の灰が自然釉(しぜんゆう)となり、素朴な焼き物を作り出してくれています。その焼き色も千差万別で、まさに「 炎 」と「 土 」の自然芸術と言えるでしょう。

 『瓶(カメ)は呼吸をしている』

さぬき岡本焼で作成されたカップ・花瓶はそれ自体が呼吸をしています。

昔から水瓶(みずがめ)の水は腐らないようにできていました。それは瓶自体が呼吸をしていた為です。当工房で制作したカップは水・焼酎をまろやかにします。また、花瓶は水の腐り程度を長くします。

焼成(しょうせい)について

焼成は焼き物において、高温の窯に入れ、長時間で加熱していくことで、堅く焼き固め、釉(うわぐすり)と艶・発色・光沢を揮発させる為の工程です。

窯入れは年に1度のみ。毎年8月から9月にかけて、窯(かま)の掃除を行います。また、薪(主に赤松)は日干しによる自然乾燥を1年かけて行います。黒松に比べ赤松は皮が薄く、より良い煤(すす)がでます。

窯入れ時は制作物の詰め方によって炎の周り方が変わります、また段毎にも温度が変わって来る為、なかなか一様に焼き上げることは難しいです。『窯詰めが製品の良し悪しを決める』と言っても過言ではありません。

登り窯炎の温度は1000度まで一気に上昇します。その後数日かけてさらに窯の温度を1200度以上に上昇させていきます。理想は1200度以上で窯の中全てを一定に保つ事ですが、薪に含まれる水分が水蒸気となり窯の中から逃げずにいる場合があります。そのような時は、窯の煉瓦に亀裂が入る事や製品の出来具合に影響したりします。

材料の薪の準備(乾燥)期間に1年、この窯入れ~窯だしまでに1か月を要します。